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生きがいって、もっと小さくていい。「IKIGAI」を読んで“朝の余白”を作ってみた件

生きがいって、もっと小さくていい。「IKIGAI」を読んで“朝の余白”を作ってみた件

ここちラボ

公開日:

2025/7/27

生きがいって、もっと小さくていい。「IKIGAI」を読んで“朝の余白”を作ってみた件

私たちここち編集部は、「ここち」というメディアで、忙しい日常の中で等身大で生きていくためのヒントを発信しています。

そんな活動の中で「自分たちもウェルビーイングや日本人の幸福感について日々継続して学び研究していくことで、読者のみなさんをよりサポートできる発信ができるのでは?」と考えました。

今後は、さまざまな研究者や著者が語る”幸福”や”ウェルビーイング”について、編集部メンバー同士で学んだ内容を発信していきます。(学び一覧は「ここちラボ」を見てね!)

第2弾として、課題図書『IKIGAI: 日本人だけの長く幸せな人生を送る秘訣』(2018年・茂木 健一郎著/新潮社) を読んで得た知識や考え方、より興味が湧いた内容をこの記事で紹介します。

そして、気になった内容については半歩踏み込んで、ちょっとした仮説検証も行ってみたので、ぜひご一読ください。

編集部メンバー プロフィール紹介

青木くん

19年卒。4年間ソフトウェア商社で技術職として働いた後、海外留学をしたり先生になってみたり、生きたい人生を自由に歩んでいます。今はコーチとして目標設定や思考の言語化などをお手伝いしています。ここちサポーターとしても活動。MBTIは広報運動家(ENFP)。

かーしー

19年卒。2025年3月に転職して、IT企業に就職、2ヶ月で早期離職しました。最近ハマっているのは哲学対話で、次に対話したい哲学対話のテーマは「中身があるって何?」。MBTIは仲介者(INFP)。

今回読んだ、課題図書「生きがい(IKIGAI)」

今回、ここち編集部が課題図書として選んだのは 『IKIGAI: 日本人だけの長く幸せな人生を送る秘訣』(2018年・茂木 健一郎著/新潮社) 。本書は、幸福とは何か?という普遍的な問いに対して、日本人の幸福感の特徴や、文化的な背景による違いをアカデミックに解説していく一冊です。

著者の内田由紀子さんは、京都大学の人と社会の未来研究院の教授であり、文化心理学・社会心理学を専門とされている方。特に日本社会における「幸福」の捉え方について日々研究されています。

「生きがい」の中で、興味深い内容

ここち編集部で読んでいて、特に興味深かった内容をピックアップします。

〈生きがい〉の五本柱とは?

向上する男性のイラスト

みなさん「生きがい」という言葉を聞いて、どんなイメージが浮かびますか?大きな目標や夢、もしくはやりがいのある仕事?家族との団欒の時間や、定期的なトレーニング、月1のゴルフなど、人によって様々な回答があるものが”生きがい”かなと思います。

この本を読むと、生きがいというものが、もっと私たちの日常に根ざしたものだということに気づくことができます。

茂木健一郎さんは、本書で〈生きがい〉には5つの柱があると語っていて、

  1. 小さく始める

  2. 自分を解放する

  3. 持続可能にするために調和する

  4. 小さな喜びを持つ

  5. 『今ここ』にいる

この5つは「互いに排他的でもなければ、それぞれで完結しているわけでもない」とのこと。つまり、複数の柱が重なり合い、ゆるやかに支え合いながら、自分だけの〈生きがい〉を形づくるらしいのです。

特別な目標がなくても、たとえば“お気に入りのマグカップで一杯のコーヒーを淹れる”というようなことが、生きがいになっていい。そんなふうに自分の人生をじっくり味わうような感覚を本を読むと感じることができます。

成功しなくても、人はちゃんと幸せになれる


本の中でとても共感できた点があります。それは「成功と生きがいが必ずしもつながらなくても良い」ということ。

いつの間にか、「評価されること」「人に認められること」を、人生のゴールのように思ってしまう方がたくさんいるのではないでしょうか…。私もその一人で、SNSでの“いいね”、職場での成果、肩書きや収入など、そういったものがないと自分には価値がないように思えてしまう…。そんな感覚に覚えがある人も少なくないのではないでしょうか…。

茂木さんはこう語っています。

〈生きがい〉は、あなたが自分の専門領域で必ずしも成功を収めていなくても、使うことのできる言葉である。

成功は、〈生きがい〉を保つための必要条件ではない。〈生きがい〉はどんな人にも開かれている。

つまり、生きがいは“何者か”にならなくても持っていいもの、ということらしいのです。むしろ、誰かの目を気にしない時間の中にこそ〈生きがい〉が育まれるのかも。

茂木さんは、こんな詩的な表現もされていました。

誰も聞いていない時にも、音楽を奏でよう。誰も見ていない時に、絵を描こう。誰も読む人がいない、短い物語を描こう。

評価のためではなく、自分の喜びのために過ごす時間。その小さなアクションの積み重ねが、他の誰かと比べなくても、自分だけの幸せを生み出してくれるのだなと、静かに背中を押してくれる言葉だなと感じました。

日本の「和」と〈生きがい〉の関係


次に興味深かったのが、〈生きがい〉の三本目の柱「調和する」について。波風を立てなかったり、周りに合わせたり…「調和すること」は、どこか日本の象徴かなと思いませんか?実際茂木さんは日本人の「和」の精神と〈生きがい〉の深いつながりについて語っています。

『和』は、他者の間で調和して生きながら、どうやって自分自身の『生きがい』の感覚を育てていくことができるのかを理解するための鍵である。

これは「人の目を気にする」というネガティブな意味ではなく、“関係性の中で自分を見つける”という感覚に近いのかも…?

「自分が自分らしくいるために、他者との距離やリズムを調整する」。それが自然とできるのが、もしかすると日本人が持つ独特なセンスなのではないかと思います。

西洋のように「私は私」という強い個人主義を求めるよりも、日本では「あなたとの関係の中で、私はこうありたい」と静かに願う。そのようなあり方の中に、“目立たなくても強い”〈生きがい〉が根づいているように感じられるのかな、と思います。

「自分を解放する」ことと〈生きがい〉の関係

最後に興味深かった点はこちらです。〈生きがい〉の二本目の柱「自分を解放する」は、単に“自由になる”という意味だけではないそうです。本書ではそれが「感覚の開放」につながっていると、茂木さんによって語られてました。

不思議なことに『自分を解放する』ことは感覚的喜びの発見に繋がっている。

たとえば、夕焼けがあまりに綺麗で立ち止まった瞬間、茶碗から立ちのぼる湯気を見て”美味しそう…”と思う瞬間、夏に風に揺れる木の葉の音に耳をすませたり…。そんな一瞬に、“生きている実感”を感じたりしませんか?

「感覚の開放」は、実は日本の禅の世界にも深く根づいている思想とのこと。 本書では、禅の修行道場として知られる永平寺について触れられていて、永平寺の僧になるために門前に何日も立ち続けるような、今の価値観では理解しづらい厳しい修行が行われていますが、それは“自己という重荷を手放す”ための道でもあると言われています。

無我は、それゆえに、自己という重荷からの解放になるのであって、フローの基本となる。

現代の私たちも、禅僧のような厳しい修行をせずとも、日常の中で“自分を少し手放す””自我から少し離れてみる”瞬間を持つことはできるはずです。

自己という重荷から、自分自身が解放されることによって、我々は感覚的喜びの無限の宇宙の中へ開かれていくのである。

それはたとえば、評価されない時間、誰のためでもない趣味、ふと見上げた空に心がほどける瞬間…そんな日々の中に、生きがいの芽は静かに息づいているのかな?と考えることができそうです。

仮説:「小さく始める」を実践したら、どんな効果が感じられる?

本書『IKIGAI』の中で紹介されていた5つの柱のうち、もっとも身近に取り入れやすそうだったのが「小さく始める」という考え方でした。
私が選んだアクションは、「毎朝、あたたかい紅茶を飲む」こと。ただそれだけのことですが、それを10日間、意識して続けてみることにしました。

使ったのは、トワイニングのアソートパック。オレンジ系の柑橘風味のものから、定番のアールグレイまで、毎朝どれを飲むかを選ぶ時間も、ちょっとした楽しみになっていました。新しい引っ越し先、そして新しい職場で始まった生活の中に、意識的に「心が落ち着く時間」を取り入れたかったんです。

朝起きたら、自然とケトルに手が伸びる。マグカップを手に持ち、立ち上る湯気に顔を近づける。
その数分間だけは、頭を空っぽにして、他のことを考えないように意識してみました。
仕事のことも、やらなきゃいけないことも、何も考えない。そのひとときが、心をふっと軽くしてくれるような感覚がありました。

結果:「マグカップと湯気」の時間が、気持ちを整えてくれる

この小さなアクションには、想像していた以上の効果がありました。

ひとつは「ルーティンとして定着したこと」。10日間という短い期間ではありましたが、身体が自然と動いて紅茶の準備を始めるようになり、朝のスタートにちょっとした安定感が生まれました。

もうひとつは、「心の余裕」につながったこと。

マグカップを両手で持ち、湯気のぬくもりを感じる。その体験はほんの数分ですが、明らかにリラックスできている感覚がありました。

そして不思議なことに、紅茶を飲むこの時間を境に「仕事のことはまだ考えなくていい」と思えるようになってきました。完全に頭から追い出すことは難しくても、“今じゃない”と自分に言い聞かせるスイッチになっていたように感じます。

このような小さな習慣が、自分をマインドフルな状態に近づけ、不要な不安や思考を少しずつ整えてくれたように思います。

書籍の概要

改めてとなりますが、今回の課題図書として読んだ本は 『IKIGAI: 日本人だけの長く幸せな人生を送る秘訣』(2018年・茂木 健一郎著/新潮社) でした。もし興味を持たれたら、ぜひ読んでみてください。

まとめ:「生きがい」は難しく考えなくていいのかもしれない

この紅茶の習慣を通じて、「小さく始める」という言葉の意味を少しずつ体感できたように思います。
本の中でも語られていたように、生きがいとは「壮大な目標」や「何かを成し遂げること」ではなく、日常の中でふと感じる喜びや意味に宿るものなのだと。

〈生きがい〉とは、自分にとって意味がある、人生の喜びを発見し、定義し、楽しむということに尽きる。

今回の実践は、本当にささやかなものでした。でも、それが「自分を構成する一部」になっていく感覚を、少しだけつかめたように思います。
それは、生きがいを“持つ”というよりも、“触れる”とか“そっと置いておく”ような感覚に近いのかもしれません。

仕事や家族、周りの人のために動く時間が多いからこそ、自分のための小さな習慣を持つことの大切さも、実感することができました。
それが生きがいかどうかはまだ分からないけれど、たしかにその種のようなものを、自分の中にまくことができた気がしています。

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