「言葉よりも、体験が残る」—小学校で出会ったウェルビーイングと対話|対話の教室 vol.5
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「対話の教室」は、ウェルビーイングを育むための“対話”をやさしく、深くひもといていく連載コラムです。長年「対話」を専門に研究・実践してきた中村一浩(カズ)さん(武蔵野大学ウェルビーイング学部 准教授)に、対話の背景・考え方・技法をわかりやすく綴っていただいています。
これまでの記事では、対話の基本や、会話との違いを手がかりに、「わかり合う」ための姿勢を見つめてきました。今回はその続編として、対話がなぜ「ウェルビーイング」と相性がいいのかを、実際の小学校での授業のエピソードからたどっていきます。言葉を教えるのではなく、体験として残す——その時間のなかに、身近な幸せの土台をつくるヒントがありそうです。

みなさん、こんにちは。カズです。
すっかり世の中は冬になり、あちこちで初雪も。
寒い冬の朝は、布団から出るのがなかなかに大変だけど、案外、冬の凛とする寒さは好きだったりもして。
矛盾しつつも嬉しかったりします。
さて、ここまでのコラムでは、対話について話しつつ、それがウェルビーイングとどう繋がるのかを話してきました。
今日は少し現場に即した話をしてみますね。
帯広の小学校でウェルビーイングの授業をしてきました

先日、北海道は帯広市にある光南小学校へ行ってきました。
ウェルビーイングの講義をするためです。
小学校では今、「ウェルビーイング」が授業に取り入れ始めていて現場での導入支援の一環として、講義をしてきました。
今回は、1年生、2年生、3・4年生、5・6年生、に対する授業と教員の皆さんに対する講義をしてきました。
これまでに小学生に対してのワークショップは片手で数えるほどしか経験がなくて。しかもそれは、参加したくて来る子どもたちだったので授業として全員が参加しなくちゃいけない場としては、初めてで。
どんな時間になるのか、結構ドキドキでした。
低学年や中学年の子どもたちには、そもそもウェルビーイングという概念をどう伝えたらいいかを悩んだし、話を素直に聞かなくなる高学年の子どもたちには、どうやって興味を持ってもらおうかと、とっても悩みました。
「言葉で覚える」より「体験が残る」授業にしたかった

そしてやろうと決めたのは、フラフープを使ったチームでの協働ワーク。
頭で言葉や概念を覚えてもらうのではなくて、友達との遊びを通じて、身体に何かが残ってほしいなと思って。そこから、ウェルビーイングとは何か、対話するとはどういうことかを学んでほしいなと思って企画してみました。
結果、子どもたちはみんなその体験を楽しんでくれて、身体のなかに「カズさんとの時間」を残してくれたように感じていて。
そこに、ウェルビーイングや対話という言葉が一緒にあるかは分からないけど(笑) それで(それが)いいんじゃないかな、と自分は思っています。
「これを覚えてね」より「自分の答えを見つけてほしい」

これは、自分の学びに対する考え方でもあるのだけど、あんまりこちらが意図して、「これ」という言葉を残したくないなと。
むしろ、自分のなかでの悩み、試行錯誤しながら、
自分なりの「これ」を見つけてほしくて。
そうしないと、前に立って話す人が「これ」という答えを持っていて、それをいかに早く確実に見つけるかのゲームになっちゃう。
そして教育は、そうなりやすい場だなと思っていて。
どうしたって、先生が話す言葉には「正しさ」が付きまとうし、先生のほうもそうありたいと考え、言葉を選んでしまう。
でも、ウェルビーイングや対話って、そういうものじゃないと思っていて。
先生には先生の、子どもには子どもの観えている世界があるし感じているものは全員違う。
まさに、一人ひとりが違う答えを持っているものだと思う。
ウェルビーイングを対話すると「違い」にやさしくなれる

そういう意味で、「ウェルビーイング」について対話することは、違いに対して寛容になりやすいし、言葉にもしやすい。
例えば、実際に小学校であったことだけど、
「どういうときにウェルビーイング=しあわせ、を感じる?」
というワークを3人組で話してもらった。
そうすると、寿司が好き!とか、野球が楽しい!とか、それぞれのウェルビーイングを言葉にしてくれる。
かつ、それぞれが話すとき、「それ、俺も好き!」とか「私はこっちが好き!」とか、どっちがいい悪いではなくて、自分の感じたことを素直に話し、しかも分かち合える時間になる。
好きなものについて話すことになるから気持ちは前向きになるし、そこから違いの奥にある感情や体験にも意識が向くようになるし、他者への興味や、自分の未知への関心も広がっていく。
そしてそれが、対話の良さだと分かる。
何かをまとめたり、決めたりするのではなくて、
それぞれが違うことをそのままに受け取り、
理解すること。
そのことの大切さが、なんとなく伝わる。
しかも、体験ワークを通じて、そういった違いのある友達と協力し合うことで、話し合うなかで新しいアイデアが生まれて、声を掛け合ってがんばることで成果につながる。
そんな体験を、全学年のみんなができた。
これもまたウェルビーイング。
対話とウェルビーイングは、一緒に進めると強い

たまたまウェルビーイング学部の教員になったけど、
対話を広めるうえでも、ウェルビーイングと共に進んでいくことはお互いにとって良いことなのかも、なんて最近思います。
ぜひ、お互いにとってのウェルビーイングを対話してみてください。
今、カズさんへ「人間関係」や「対話」に関する質問を大募集中!ぜひお気軽にお声を寄せてみてくださいね。







